本記事では、感染症であるB型肝炎についてまとめていきます。B型肝炎は、日本でも多くの感染者がいる病気です。母子感染やセックスによる感染によってB型肝炎は広まっていきます。場合によっては、肝臓がんなどに進行していく可能性のある病気です。
B型肝炎は予防することが大事です。日本では、生後2ヶ月よりB型肝炎のワクチンを接種することができます。B型肝炎のワクチンは、安全性が確率されているものであり副作用のリスクも極めて低くなっています。
肝臓がんを予防することにもつながるので、医療機関で積極的にB型肝炎ワクチンを受けるようにしましょう。
目次
B型肝炎かも?発症時の特徴
B型肝炎は、B型肝炎ウィルスに感染することによって発症する感染症です。B型肝炎の患者は、世界で3億人以上も存在しています。また、日本国内においても、約150万人ほどの人がB型肝炎に感染しているとされています。
つまりは、日本人の100人に1人ほどがB型肝炎の患者ということになりますね。年間10,000人以上の人が、新たにB型肝炎に感染し続けている状態です。
B型肝炎の初期症状としては、次のようなものが報告されています。
- 身体のだるさや疲労感
- 食欲の低下
- 吐き気や嘔吐
B型肝炎という名前からも分かるように、これらの症状は肝機能の低下によって発症するものです。B型肝炎には、急性肝炎と慢性肝炎とがあります。
急性肝炎の場合は、1~6ヶ月間の潜伏期間を経て上記の症状が発症します。慢性肝炎の場合は、数年から十数年間は無症状の状態が続くことになります。
B型肝炎の症状
B型急性肝炎の症状としては、上記の初期症状の他に次のようなものがあります。
- 胸のむかつき
- 腹痛
- 皮膚発疹
- 関節の痛み
- 尿の色の変色(濃い烏龍茶の色)
- 黄疸(目の白目の部分)
黄疸の症状が発症するのは、成人の場合は30~50%、小児の場合は10%以下となっています。
これらの症状は、身体の免疫機能に異常がない場合は、1ヶ月程度で治癒していきます。
一旦治癒してしまえば、B型肝炎ウィルスは身体から完全に排除されることになります。その場合は、一部の例外を除いて、慢性化(キャリア化)することはないとされています。
B型肝炎に感染した人のうちの1%以下の人に、劇症肝炎が発症します。これは、急激に肝炎が重症化した状態です。この状態になってしまうと、肝移植などを行わない限りは、60%~70%ほどの確率で死亡してしまうことになります。
B型肝炎の感染経路
B型肝炎の感染経路としては、次の2つが考えられます。
- 母子感染
- 水平感染
母子感染とは、B型肝炎感染者である母親から分娩にあたってお腹の子どもに感染してしまうものです。このB型肝炎の母子感染は、免疫グロブリンの接種を生後1週間以内に接種することによって予防することが出来ます。
この予防接種には、健康保険が適用されます。このため、日本国内においては、B型肝炎の母子感染は大きく減少しています。
水平感染とは、感染者の血液や体液への直接接触によってB型肝炎に感染してしまうものです。水平感染におけるB型肝炎の感染経路として多いものは、次のようなものです。
- ウィルスに汚染された医療器具の使い回し
- 感染者とのセックス
B型肝炎はこれらの特殊な状況下でのみ感染するものであり、学校や会社などの日常生活において感染が拡大することはありません。
B型肝炎の症状が進行すると
B型肝炎のうちの数%は、慢性肝炎(持続感染)とよばれるものです。このタイプのB型肝炎は、幼い時期にB型肝炎ウィルスに感染することによってなるものです。
慢性肝炎は、感染後、数年~十数年間は何の症状も無い状態(無症候性キャリア)が続きます。その後、思春期以降の免疫機能が発達する時期に、肝炎としての症状が発症することになります。
この肝炎は、B型急性肝炎と同じく一過性のものです。しかし、慢性肝炎の場合は、ウィルスが肝臓に長く住み着くことになります。
そのため、一度肝炎が治癒しても、また、慢性肝炎を患っている人の一部は、将来的に肝硬変や肝がんへと症状が進行していくことがあります。
これらの慢性肝疾患になる人の割合は、B型慢性肝炎である人の10〜15%程度とされています。この進行を防ぐためには、抗ウィルス剤による治療が必要となります。
B型肝炎の治療方法
上記のB型慢性肝炎である場合を除いて、多くのB型肝炎は一過性のものです。そのため、基本的には、安静にしつつ自然治癒を待つことになります。多くの場合において、1ヶ月程度が過ぎると症状は落ち着いていくことになります。
一過性の症状が重くつらい場合には、入院しなければいけないことがあります。その場合は、水分や栄養を補う点滴などをしつつ、安静状態を保つことになります。
なお、肝炎の劇症化が疑われるときなどには、以下のような特別な治療を行うことになります。
- 抗ウィルス剤(核酸アナログ製剤など)の投与
- 血漿交換による血液の浄化
- 肝臓機能補助のための血液透析
また、過度に肝炎が進行してしまった場合には、肝移植を行うこともあります。これらの治療方法はあくまで例外であり、基本的には、B型肝炎には無治療で対処することになります。
B型肝炎で気をつけるべき事
日本で現在広まりつつあるB型肝炎ウィルスは、遺伝子型Aというタイプのものです。このタイプのB型肝炎ウィルスは、B型慢性肝炎(キャリア化)になりやすいものとして知られています。
そのため、知らない間にB型肝炎のキャリアとなっているということが頻繁に起きるようになっています。
このような状況からも、B型肝炎はワクチンにて予防することが推奨されています。世界保健機構(WHO)では、生まれたらすぐにB型肝炎のワクチンを子どもに接種させるように各国に呼びかけています。
日本においては、生後2ヶ月からB型肝炎ワクチンの接種が認められています。B型肝炎をワクチンで予防することは、肝臓がんを予防することにもつながることです。
また、ワクチンの他にも、B型肝炎予防のためには、以下のようなことを心がける必要があります。
- 血液が皮膚についたらすぐに洗い流す
- 不特定多数とのセックスは避ける
- セックスをする場合は、コンドームの着用を徹底する
まとめ:B型肝炎は日本人も注意するべき感染症
B型肝炎は、日本人の間でも広まりつつある感染症です。一過性の肝炎のみで終わることもあれば、慢性化し肝臓がんなどにつながることもあるものです。いざというときに慌てないように、事前にきちんとした知識を付けておく必要があります。
B型肝炎の感染経路は、主に母子感染と水平感染があります。母子感染は、B型肝炎の母親からお腹の赤ちゃんへの感染になります。水平感染は、B型肝炎患者とのセックスなどによって感染が広まるものです。
B型肝炎は予防することが大事です。子どもが生まれたら、すぐにB型肝炎ワクチンの予防接種を受けさせることが大事です。日本では、生後2ヶ月よりB型肝炎ワクチンの接種が可能となります。
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